民主化運動を『タクシー運転手 約束は海を越えて』から読み解いてみよう

韓国映画

アンニョンハセヨ!寝ても醒めても韓国大好き!sakiです。

韓国人と話していると、日本と比べて、全体的に政治や歴史に関心がある人が多いなあと感じます。

KTXに1人で乗ったら、隣のおじさんに話しかけられて、ずっと政治や歴史の話をされたことがあったな~(笑)

『恋のスケッチ~応答せよ1988~』では、主人公ドクソンのお姉さんが、学生運動に参加するシーンが何度かありました。1980年代は、民主化運動が盛んな時期だったんです。今回は、民主化運動についてです。特に、光州事件を題材にした『タクシー運転手 約束は海を越えて』を参考に、韓国の民主化運動を読み解いて行こうと思います。

プププ。J-スタイルのタイトルはいつも面白いものが多いんだよな~

※ネタバレを含みます。

光州事件が起こるまで

大統領の暗殺

当時の大統領、朴正熙の政治は、言わば独裁政治でした。軍人だった彼は1961年5月16日に軍事革命委員会の名の下、軍事クーデターを起こします。その後、1963年~1979年まで大統領を務めましたが、1979年に大統領は側近によって暗殺されてしまいます。殺害動機については未だ明らかにされていない部分もありますが、裁判で当時側近は、「民主主義回復の為」と述べていたそう。

ソウルの春

暗殺事件の直後、韓国では民主化のムードに。学生運動や労働運動が全国各地で活発に行われました。労働者によるストライキも行われたようです。ですがこの民主化のムードは、一時的なもので終わってしまいます。

5.17戒厳令拡大措置

1980年5月17日、相次ぐデモで国内の不安が高まった為、戒厳司令部は戒厳令拡大措置を発令。学生による集会やデモの禁止、大学の無期限休校、労働者のストライキ禁止等を発表しました。実質的な軍事政権の復活です。特に光州はデモや集会が大規模で行われていた地域で、ある集会では、学生と市民で約5万人もの人々が集まりました。その為、韓国の中でも特に光州に、集中的に軍を投入しました。これが光州運動の直接的な発端となった出来事です。

5.18民主化運動(光州事件)

1980年5月18日。ついに事件は起こります。戒厳令拡大措置が発令されたにも関わらず、道庁の前には学生たちが集まり、デモを行っていました。軍はデモを制圧しようと次第に行動がエスカレートし、騒ぎが大きくなっていきます。光州市民も参加し、光州市民VS軍隊の攻防戦が始まります

デモが大きくなると、外部への情報漏えいを防ぐため、光州は封鎖。軍人たちは銃や鎮圧棒で市民たちを攻撃しました。実際に銃殺された市民もいたそうです。市民もバスやタクシーで壁を作り、武器を持って応戦したそうです。当時の映像がありますので、ご覧ください。※ショッキングな内容を含みます。

光州が封鎖されると、電話も繋がらないようにされたそうです。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』でも、市民に銃を向けるシーンや、家から光が漏れないよう布で窓を覆ったりと、光州がまるで戦争中かのような描写があります。

最終的には、5月26日に陸軍部隊が戦車で光州に侵入。27日には陸軍部隊がデモの鎮圧に成功し、光州運動は幕を閉じます。

結局、軍が勝っちゃったんだ…

この事件で負傷者は3028名、154名にのぼる死亡者が確認されています。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』は韓国で1200万人を突破した大ヒット作品です。実際とは異なる描写も多いですが、当時の状況が分かりやすく描かれていますので、是非見ていただきたい作品です。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』との相違点

タクシー運転手、実は英語ペラペラだった

劇中では、サウジアラビアでもタクシー運転手の仕事をしていたため、英語が若干話せる設定でしたね(ルー大柴スタイル)。実際は、高級ホテルの専属タクシー運転手だったため、英語はペラペラだったそうです。

タクシー運転手には、妻と息子がいた

劇中では、妻はおらず、娘と二人暮らしでしたが、実際には娘ではなく息子がおり、妻もいたそうです。残念ながらタクシー運転手は、1984年に肝臓がんで亡くなってしまったそうです。

光州に行った外国人記者は1人だけでは無かった

劇中では他の外国人記者はいないような描写でしたが、実際には他にも外国人記者はいたそうです。因みに今年、朝日新聞の記者が現地で取ったカラー写真が発見されたとニュースになっていました。

参考:日本の学生運動

日本では、1910年~1920年、大正デモクラシーの時期に学生運動が始まりました。一番代表的な運動と言うと、安保闘争(1959年~1960年、1970年)でしょうか。しかし、1980年代にはごく一部の大学生しか行わないものとなっていました。

最後に

今回は光州事件について簡単にお伝えしました。当時の出来事が分かると、映画を視聴される時も更に興味を持って見ることが出来ると思います。『タクシー運転手 約束は海を越えて』を見た時、「これが本当に1980年に起こったことなのか」と驚きました。軍人は国民を守るのが務めのはずなのに、制圧するために暴力を振るったり、銃を向けるなんて、とっても怖いですよね。軍事政権とは、こんなにも怖いものなんだなと思いました…。しかも割と最近の出来事なのが更に怖い…。

現在、1987年の民主化運動で、韓国は直接選挙制となり、大統領を国民が直接選ぶことが出来ます。それほど、民主化運動は、国の歴史をも大きく変えた重要な出来事だったんですね。主人も日付まで知っていたので、どれほど重要な出来事だったのか分かります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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